#06 ページ16
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ついに来たAの誕生日。
前日に電話が来て、
久しぶりに聞いた愛しい声に
今すぐにでも会いに行きたかったんだけど。
サプライズだからダメだ、と
自分に歯止めを効かせて
なるべく冷たく、冷たく。
電話越しでもわかる、泣きそうな声。
俺は記念日は祝わなかったけど
誕生日だけは祝ってきたから。
多分、ショックなんだろうな、って。
12時すぐに会いに行くから。待ってて。
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『 誕生日おめでと 』
やっと見れたAの顔は、
俺を捉えて泣きそうな顔。
たまらずに抱きしめた。
暖かくて、離したくなくて。
顔が見たい、と離れる彼女は
俺の目を見つめながら本音を話す。
正直別れたかった、とか
誕生日も忘れられちゃった、とか
言っとくけど、記念日だって覚えてるからな?
『 …A、結婚しよう。 』
目に涙を貯めるAは、
頷きながら俺に抱きついてきた。
今日は。せめて今日くらいは。
愛情表現してやらないとな。
『 好きでたまんない。愛してるから。
もう不安になる必要も無い。
…これからはもっと、表現するようにする。
不器用だけど。
ずっとそばにいて欲しい。
誕生日おめでとう、ミンAさん 』
あえて名字を変えて言ってみた。
今日はベタづくし。
まあ、Aの誕生日だし。
もう何でもしてやる。
「 ユンギ、離れないで 」
『 当たり前だろ 』
「 ふふ、大好き 」
『 ………俺も 』
いつも冷たかった分、今日は甘く甘く。
ずっと一緒にいれるように。
…これからは結婚記念日も祝ってやるかな。
Fin
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作者名:ビョンゴジラ | 作成日時:2016年9月27日 18時