4月、授業に悩む ページ3
入学式や寮分け、新入生歓迎会などが終わって4月になった。
わたしはグリーンアメシスト寮の1年生の担当だ。
「緊張するー!」
同時期に入ったミオソティス先生はサファイア寮の1年生の担当だから同僚だ。それと、ラウンジで会ったダーリア先生もカーネリアン寮の1年生担当らしいので、彼とも同僚だ。
「まあまあ気持ちは分かるけど、そんなに緊張してもしょうがないよ〜」
そう、震えるわたしに赤髪の先生が声をかける。彼女はオパラ・ミュゲート先生。わたしが生徒だった頃から先生だった人だ。
初めて会った時に「知ってる先生居た!」と喜んだら苦笑いされた。
ミュゲート先生は1学年上のムーンストーン寮の担当で、ヘッケンローゼ先生も1学年上のモルガナイト寮担当らしい。
×
新任の先生になってから数日。
授業がうまくいかないと感じていた。
他の先生に相談して、アドバイスをもらうことにした。
ダーリア先生は「とにかく生徒の安全に気を付けろ」
ミュゲート先生は「僕はほとんど放置だからねぇ〜」
ミオソティス先生は「わたしも聞きたいよぉ〜! みんな寝ちゃってるし……」
そんな感じだった。他の先生達にも相談してみるけれど、大体の先生が「そのうち分かる」みたいなことを言う。あまり参考にはならなかった。
「うーん、どうしよ?」
まだ聞いていないのはヘッケンローゼ先生だけだ。彼は中々捕まらない。
だがある休みの日に職員寮でちょうど彼を捕まえることができた。
「……学習に必要な部分さえ伝われば良いのです」
彼は端的に述べた。
「そうなんですね。具体的には?」
「授業終了までに覚えておくべき箇所を繰り返す、課題にする……等でしょうか」
「ふむふむ」
なんだか参考になりそうだ。それから、わたしは彼から色々と話を聞いた。
「ありがとうございます」とお礼を言って、聞いたことを実践するために部屋に戻る。
♦︎
「珍しいね。きみが人に構うなんてさ」
トレーフルが居なくなったあと、ミュゲートがヘッケンローゼの前に現れた。
ミュゲートは、ヘッケンローゼをからかう。ヘッケンローゼとミュゲートは同僚でもあるが、実は同じグロリアス高等学園の卒業生だった。
そして、同じ部活動の魔法研究部の先輩後輩の関係でもあった。だから、他の者より話す機会があったのだ。
「……聞かれた事に答えたまでです」
「そ」
そんな会話があったことはつゆ知らず、トレーフルは自分なりのわかりやすい授業の方法を模索するのであった。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鬼灯 | 作成日時:2024年4月10日 14時