デートなんて恐れ多い ページ1
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ピチチ…って雀の鳴き声と窓から差し込む日差しで目が覚めた。
「いい天気…」
んにゃぁ…ってどこか眠たそうに鳴くのはツナ。
「おはよー」
この子、当たり前みたいにここに居るけど良いのかな。
「さっくんが寂しがるんじゃない？」
そう聞いてみても喉を鳴らして私に体を押し付ける勢いで擦り寄ってくるだけ。
都合の悪いことは知らんぷりってか。
確信犯め。
保護した猫ちゃんって聞いてたし、簡単には懐かないんだろうなって思ってたから、ツナの人懐っこさには驚かされる。
ただでさえ猫ちゃんって気まぐれな生き物ってイメージなのに…
いかにここの人たち、主にさっくんに愛情をたっぷり注いで貰っているかが分かる。
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リビングの様子を伺うようにそろーっとドアを開けると、そこにはダイニングの椅子に胡座をかいて座る康二くん。
彼の前には湯気のたつカップが置かれているけど、ぽけーっとしているところを見ると寝起きなのかな。
そう思って正面に回り込むと、寝起きどころか目を瞑っている。まだ覚醒しきってないらしい。
岩「お供引き連れてる」
「へ？」
洗面所から出てきたひかるさんの視線を辿ると私の後ろにツナ。わざとウロウロしてみても糸で繋がれてるみたいについてくる。
「あは 後追いされてる」
岩「すっかり気に入られてんね
飯どうする？一緒にパン焼こうか？」
「や、大丈夫です！お気になさらず！」
岩「お気になさらずって…どうすんの？」
基本寝ぼすけな私は朝ご飯は食べないことのほうが多いのでそれをそのまま伝えると叱られた。
お腹空いてなくても朝は何か胃に入れとかないとダメ！って。
お父さんなのかトレーナーなのか…
向「おれ作ろかぁ…」
「わっ 起きてたの？」
向「んや…今目ぇ覚めてきた…」
ぽやぽや康二くんがフラ〜っとキッチンに向かったけど、シンクのところでまたぼんやりし始めたから相当眠いみたい。
あんなんで包丁とか火とか使ったら危ないよ。
「…私作るよ？」
向「んぇっ！？ほんま！？」
今までのぽやぽやはなんだったんだってくらいおめめパチー！って開いてキラキラの眼差しを私に向ける。
向「自炊するん？」
「まあ、実家出てから長いしそれなりには…」
向「えー！女の子の手料理食べんのなんていつぶりやろ〜嬉しいわぁ」
そんな大層な腕前じゃないんだけど…
ていうかこの人料理を仕事にしてる人だよね？
作ろうか？なんて安易に言わなきゃ良かった。
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作者名：あむ
| 作成日時：2024年4月5日 23時
