世間は狭い ページ12
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シェアハウスからの初出勤はたまたまさっくんとシフトが被っていて一緒に出勤した。
昨日、お蕎麦を食べた後の記憶がぼんやりしていて、というのも私が帰りの車で寝てしまったからなんだけど。
自分の足で駐車場から歩いた記憶はあるけど、その後またすぐに寝てしまったらしい。
気が付いた時には真新しい香りのするベッドの上だったから。
早朝にシャワーをお借りして、あろうことか2度寝してしまって…私がすっかり起きて用意してるもんだと思ってたさっくんに「Aちゃん?!行くよ?!」って叩き起こされて忙しなく家を飛び出した。
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みどり「良いお家見つかったんだ?」
「はい。相談に乗って頂いてありがとうございました」
子ども達が寝ついた後、各々作業をしながらみどり先生とヒソヒソ話。
無事に引っ越しが済んだことを伝えると、「良かったあ」
って目尻に皺を寄せる。
みどり「どんなお家?」
「んー…と、シェアハウスなんです」
さっくんと同じ家に住んでることは変な誤解を生んでも嫌だし、あまり大っぴらにはしないでおこうという話で落ち着いたんだけど、みどり先生には相談に乗ってくれたこともあってどんな家かくらいは話しておきたくて。
さっくんと同じってことは伏せて伝えることにした。
みどり「あら〜いいじゃない」
「最近流行ってるのねー」ってにこにこ連絡ノートを書いているみどり先生。
私は喋りながら文を考えられないからこれは凄技。
みどり先生は「慣れ慣れ!」って笑うけど。
みどり「佐久間先生もそうでしょ?」
「えっ、」
まさかみどり先生がさっくんのお家事情を知っているとは思わなくて驚いた。
でも確かに…さっくんと先生、よく話してる気がする。
プライベートの話もするんだ…なんて思ってたら、次の瞬間、耳を疑った。
みどり「うちの息子と同じところに住んでるのよ」
うちのむすこ?
むすこって…息子?!
おっきな声を出しそうになったのを寸前のところで堪える。
みどり「あれ、知らなかったっけ?」
きょとんとするみどり先生。
取れる勢いで首を横に振っておいた。
みどり「ふふ ほら、よく先生に話してた一番上の息子。」
「あ…大学院まで進んだっていう…?」
そう口に出して、心当たりのある人物が1人頭に浮かぶ。
みどり先生は阿部翠先生だった。
みどり「楽しいみたいよ〜
最近、新しい人も入居されたって言ってたわ」
ああ…心当たりしかないな…
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作者名:あむ | 作成日時:2024年4月5日 23時