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[渡辺 side]
「「A!」」
病院に着いて受付を済ませAの病室に駆け込む。
「しょ…う…た……りょ…う…た…」
こっちを向いて、掠れた小さな声で俺達の名前を呼ぶAを見て再び涙が溢れた。
渡辺「A!」
Aの元へ駆け寄って思いっきり抱きしめる。
「しょうた…ごめん…」
弱々しく笑いながらAが言う。
渡辺「マジで、生きた心地しなかった…」
「ごめんね…」
涼太もごめんと目線をうつして言うA。
宮舘「すごく心配した。でも意識が戻って良かった」
「ごめん…」
俺がAの身体を離すと、Aのお母さんがこれからのことについて話してくれた。
長い期間横になっていたからリハビリが必要なこと。今のところ奇跡的に脳にも身体にも異常がないから、リハビリを乗り越えればもとの生活に戻ることができること。…でも、スタントの仕事ができるところまで身体は戻らないこと。
渡辺「(Aの)お母さん…」
咲良母「どうしたの?」
渡辺「今日、俺達、ユニット決まったんだ。涼太も一緒。今度こそ俺デビュー目指したいと思ってる。だから…デビューしたらAのことを俺にください!」
そう言って俺は深く頭を下げた。
Aのお母さんの後ろでは俺と涼太のママたちがキャーキャー言っている。
咲良母「それってお嬢さんをください的な…やつ?」
渡辺「…はい…」
咲良母「ほんとに!?A良かったね!ずっと翔太のこと好きだったもんね!」
キャーッとAの腕を揺さぶる。
Aは頬を真赤にして目線を泳がせていた。
宮舘母「幼馴染の恋、キュンキュンする〜!」
ママ「涼太はいかなくていいの?」
宮舘「ちょっと待ったってやつ?」
ママ「そうそう」
宮舘「俺、好きな子いるけど…やっとこうか?」
渡辺「やんなくていいよ!」
病室の端でネタの打ち合わせをするかのように話す3人にツッコミを入れると、病室が笑い声で溢れる。
Aの方を向くと、Aも笑っていた。
宮舘「Aのこと守るんだよ」
渡辺「わかってるよ」
宮舘「翔太のこと支えてやってくれる?」
涼太が聞くと、ゆっくり頷くA。
渡辺「頑張らないとな」
自分の為にも、Aの為にも。
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作者名:雪 | 作成日時:2024年4月6日 18時