渡辺と渡邊。

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渡「彼女できた」


高2の夏休み。


翔太の部屋で2人でゴロゴロしてた時。


「…え」


渡「だから。彼女。」


「…あ、おめでとう」


ありがと、って言う割に、全然笑ってない。


「…え、じゃあわたし、帰るね」


家来る前に言ってよ。てか言うでしょ。普通。


帰り支度、というか、スマホだけ持って、翔太の部屋を出ていこうとする。


と。、


なぁ


って、ちょっと低めの声で言われて。


振り返ると、ベッドで横になってた翔太が、むくって起き上がっていて。


「…なに？」


渡「…なんも思わねぇの？」


「…なにを？」


渡「…彼女出来たこと」


…何も、思わない。


…わけ、ないじゃん。


いつからかずっと、心がモヤモヤしてる。


それがなんなのか、全然わからなかったけど。


…今、やっとその答えが、わかった気がする。


…でもそんなのもう、後の祭りで。


「…あーあ、翔太に先越されちゃったかぁ」


わたしも彼氏早く欲しいなーって。


誤魔化すように、翔太の部屋を出た。


バタン、とドアを閉めたあと。


…しばらく、そこから動けなくて。


心臓がドクンドクン大きく鼓動して、足が、手が、震えてきて。


目の前が、段々ぼやけてくる。


なんで今更、気づいちゃったんだろう。









わたし翔太のこと、好きだったんだ。

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